2026年8月から介護施設の食費が変わる?「基準費用額」の見直しをわかりやすく解説
2026年8月から、介護保険施設などの食費に関する「基準費用額」が、1日あたり100円引き上げられました。
「ということは、介護施設の食費が1日100円値上がりするの?」
ニュースなどで今回の見直しを知り、そう思った方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、今回100円引き上げられたのは、利用者が施設に支払う食費そのものではありません。
引き上げられたのは、国が定める「基準費用額」です。
……と言われても、「基準費用額って何?」となりますよね。
さらに調べてみると、「負担限度額」「補足給付」といった聞き慣れない言葉も出てきます。
そこで今回は、2026年8月から何が変わったのか、利用者が負担する食費はいくら変わるのか、どのような施設を利用している方に関係するのかを、できるだけわかりやすく解説します。
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の食費への影響についても、あわせて見ていきましょう。
そもそも、介護施設の食費は介護保険に含まれる?
まず知っておきたいのが、介護施設で提供される食事の費用についてです。
介護保険施設に入所した場合、介護サービスにかかる費用については、所得などに応じて1~3割を利用者が負担します。
一方、食費や居住費は原則として介護保険の給付対象には含まれず、利用者が負担します。
つまり、
「介護保険施設だから、食事代も1~3割負担になる」
というわけではありません。
ただし、所得や資産が一定以下の方が食費や居住費をすべて負担すると、施設の利用が難しくなってしまう場合があります。
そこで設けられているのが、食費や居住費の負担を軽減する仕組みです。
今回の「基準費用額」の見直しを理解するには、まずこの仕組みを知っておくことがポイントです。
「基準費用額」とは?
基準費用額とは、介護保険施設などで食事を提供するためにかかる平均的な費用を踏まえて、国が定めている基準となる金額です。
簡単にいうと、
「施設で食事を提供するには、平均的にこれくらいの費用がかかる」
という基準です。
ここで大切なのは、
基準費用額=利用者が実際に施設へ支払う食費
ではないということです。
基準費用額が1日100円上がったからといって、すべての利用者がそのまま100円多く支払うわけではありません。
実際の負担額を考えるうえでは、次に説明する「負担限度額」が関係します。
所得が少ない方には「負担限度額」がある
介護保険施設などを利用する方のうち、所得や資産などの要件を満たす方には、食費や居住費の負担を軽減する制度があります。
そこで登場するのが「負担限度額」です。
基準費用額が、
「食事を提供するには、平均的にこれくらいの費用がかかる」
という基準だとすると、負担限度額は、
「一定の要件を満たす方が自分で負担するのは、ここまで」
という上限です。
負担限度額は、所得や年金収入、預貯金などの状況に応じて段階的に設定されています。
そして、基準費用額と負担限度額の差額を介護保険から給付する仕組みを「補足給付」といいます。
正式には「特定入所者介護サービス費」と呼ばれる制度です。
なお、この軽減を受けるためには、原則として市区町村へ申請し、「介護保険負担限度額認定証」の交付を受ける必要があります。
3つの言葉を簡単に整理すると
ここまでに出てきた言葉を、一度整理してみましょう。
基準費用額
介護保険施設などで食事を提供するためにかかる平均的な費用を踏まえ、国が定める基準です。
負担限度額
所得や資産などの要件を満たす方について、「本人が負担するのはここまで」と定められた上限です。
補足給付
基準費用額と負担限度額との差額を、介護保険から給付する仕組みです。
たとえば、2026年8月以降の基準費用額は1日1,545円です。
その方の負担限度額が680円の場合は、
1,545円(基準費用額) =680円(本人負担)+865円(介護保険からの給付)
というイメージになります。
このように、国が定める基準費用額と、利用者が実際に負担する食費は同じではありません。
2026年8月から何が変わった?
2026年8月から、食費の基準費用額は次のように変更されました。
1日1,445円から1,545円へ
1日あたり100円の引き上げです。
今回の見直しの大きな背景にあるのが、近年の食材料費の上昇です。
スーパーなどで買い物をしていて、「以前より食料品が高くなった」と感じている方も多いのではないでしょうか。
介護施設も同じように、食材料費などの上昇の影響を受けています。
これまで食費の基準費用額は1日1,445円とされていましたが、施設で食事を提供するためにかかる平均的な費用との間に差が生じていました。
こうした状況を踏まえ、国は食費の基準費用額を1日100円引き上げ、1,545円とすることにしました。
本来、次の介護報酬改定は2027年度に予定されています。
しかし、食事提供にかかる費用の変化などを踏まえ、2027年度の改定を待たず、2026年8月から見直されることになりました。
今回の改定は、単に利用者の食費を100円増やすというものではなく、物価上昇によって変化した食事提供の実態を、国が定める基準に反映させるための見直しです。
利用者が負担する食費はいくら変わる?
それでは、利用者が実際に負担する食費は、いくら変わったのでしょうか。
2026年8月から、介護保険施設に入所している方の食費の負担限度額は、次のようになりました。
| 利用者負担段階 | 2026年7月まで | 2026年8月から | 変更額 |
|---|---|---|---|
| 第1段階 | 300円 | 300円 | 変更なし |
| 第2段階 | 390円 | 390円 | 変更なし |
| 第3段階① | 650円 | 680円 | +30円/日 |
| 第3段階② | 1,360円 | 1,420円 | +60円/日 |
※上記は、介護保険施設に入所した場合の1日あたりの食費です。ショートステイでは一部金額が異なります。
基準費用額は1日100円引き上げられましたが、第1段階と第2段階の負担限度額は据え置かれています。
第3段階①の方は1日30円、第3段階②の方は1日60円の引き上げです。
30日利用した場合の目安にすると、
- 第3段階①:月額約900円の増加
- 第3段階②:月額約1,800円の増加
となります。
実際の金額は利用日数によって異なりますが、
「基準費用額が100円上がった」=「全員の食費が1日100円上がった」
ではないことがわかります。
なお、第4段階に該当する方には、食費の負担限度額は適用されません。
第4段階の方が負担する食費は、施設と利用者との契約に基づいて設定されます。
自分や家族がどの段階に該当するかわからない場合は、「介護保険負担限度額認定証」を確認するか、市区町村の介護保険窓口へ問い合わせてみましょう。
ショートステイの食費は金額が異なる
ショートステイにも食費の負担を軽減する仕組みがありますが、負担限度額は施設に入所している場合と一部異なります。
2026年8月以降の1日あたりの負担限度額は、次のとおりです。
| 利用者負担段階 | 施設入所 | ショートステイ |
|---|---|---|
| 第1段階 | 300円 | 300円 |
| 第2段階 | 390円 | 600円 |
| 第3段階① | 680円 | 1,030円 |
| 第3段階② | 1,420円 | 1,360円 |
ショートステイを利用する場合は、施設入所時の金額をそのまま当てはめず、介護保険負担限度額認定証や施設からの案内を確認しましょう。
今回の見直しは、どんな施設に関係する?
今回の基準費用額や負担限度額の見直しは、主に次の介護保険施設やサービスを利用する方に関係します。
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 地域密着型特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設(老健)
- 介護医療院
- 短期入所生活介護(ショートステイ)
- 短期入所療養介護
これらの施設やサービスでは、所得や資産などの要件を満たす方について、食費や居住費の負担を軽減する補足給付の仕組みがあります。
一方で、老人ホームを探している方にとって気になるのが、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の食費です。
有料老人ホームやサ高住の食費も100円上がるの?
結論からいうと、
今回の基準費用額の見直しによって、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の食費が、一律に1日100円上がるわけではありません。
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の食費は、それぞれの施設が定める料金や契約に基づいて設定されています。
そのため、今回説明している介護保険施設などの基準費用額の見直しとは、制度上は別の話です。
ただし、
「今回の改定の対象外だから、有料老人ホームの食費は上がらない」
という意味でもありません。
ここは少し注意が必要です。
制度は別でも、同じ物価上昇の影響を受けている
今回、介護保険施設などの基準費用額が見直された背景には、食材料費をはじめとした物価の上昇があります。
そして、物価上昇の影響を受けているのは介護保険施設だけではありません。
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅でも、毎日の食事を提供するために食材を仕入れています。
そのため、今回の基準費用額の改定とは直接関係がなくても、食材料費などの高騰を受け、各施設の判断で食費が見直されることはあります。
整理すると、次のような違いがあります。
介護保険施設など
物価上昇などを背景に、国が食費の基準費用額を見直しました。
有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅など
今回の基準費用額見直しの対象ではありません。ただし、同じように物価上昇の影響を受けており、施設独自に食費を見直す場合があります。
今回の制度改定と同じような時期に、有料老人ホームなどから食費改定のお知らせが届くこともあるかもしれません。
しかし、時期が近いからといって、必ずしも「国が基準費用額を100円上げたから、有料老人ホームも値上げした」というわけではありません。
制度は別でも、背景にある物価上昇という事情は共通している
と考えるとわかりやすいでしょう。
よくあるご質問
Q. 介護施設の食費は、全員1日100円上がるのですか?
いいえ。
100円引き上げられたのは、国が定める基準費用額です。
食費の負担限度額が適用される方については、第1段階と第2段階は据え置き、第3段階①は1日30円、第3段階②は1日60円の引き上げです。
第4段階の方が負担する食費は、施設との契約に基づいて決まります。
Q. 有料老人ホームも今回の見直しの対象ですか?
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は、今回の基準費用額見直しの対象ではありません。
ただし、食材料費などの高騰を理由に、施設が独自に食費を改定する場合はあります。
Q. 自分の負担段階はどこを見ればわかりますか?
市区町村から交付された「介護保険負担限度額認定証」で確認できます。
認定証が見当たらない場合や、制度の対象になるかわからない場合は、市区町村の介護保険窓口へ相談してみましょう。
まとめ|「基準費用額100円アップ=全員100円値上げ」ではありません
2026年8月から、介護保険施設などの食費に関する基準費用額は、1日1,445円から1,545円へ、100円引き上げられました。
今回の見直しの背景には、近年の食材料費などの上昇があります。
ただし、
基準費用額が100円上がったからといって、すべての利用者が1日100円多く負担するわけではありません。
食費の負担軽減を受けている方については、第1段階・第2段階の負担限度額は据え置き、第3段階①は1日30円、第3段階②は1日60円の引き上げとなっています。
また、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は、今回の基準費用額見直しの対象ではありません。
一方で、同じように食材料費などの物価上昇の影響を受けているため、今回の制度改定とは別に、施設独自に食費が見直されることはあります。
「ニュースを見たけれど、自分の家族には関係あるの?」
「施設から食費改定のお知らせが来たけれど、毎月いくら変わるの?」
「検討している老人ホームの食費が、ほかの施設と比べて高いのかわからない」
介護施設の食費は、施設の種類や利用する制度、契約内容によって異なります。
くらすまいるでは、ご本人やご家族のご希望、ご予算などを伺いながら、食費を含めて実際に必要となる金額を確認し、ご予算に合った施設選びをお手伝いしています。
施設の食費や施設選びについてわからないことがありましたら、お気軽にご相談ください。


