親の介護施設選びで後悔しないための、現場目線の進め方

介護施設紹介センターくらすまいるの西田です。
朝は洗濯、昼は仕事、夕方は買い物、夜は電話で親の体調確認。
その合間に施設探しーー正直、気力も時間もすり減りますよね。「どこから手をつければいいのか」「この選択で本当に良いのか」迷うのは当然です。介護のことは、初めて向き合う方がほとんど。しかも退院日やケアの切れ目に追われがちで、準備不足・情報不足が重なると、入居後に「こんなはずでは…」になりやすいのです。

介護施設紹介センターくらすまいるからのお約束

私たちは、急かしません。派手な宣伝より、事実の見える化を大切にします。
初回の整理(現状と希望)→候補の提示→見学や体験入居の段取り→契約前の要点チェック→入居後のフォローまで、ご家族のペースで伴走します。特定の施設に偏らず、メリットもデメリットも同じ熱量でお伝えします。

「よくある後悔」を、手前で止める

  1. 費用の誤算
    パンフの“月額”だけで判断し、介護保険の自己負担・医療費・おむつ・理美容・日用品などの追加費用を見落として、気づけば予算オーバー。
    固定費+変動費を合算して“総額”で考えるのがコツ。弊社は見落としやすい項目の早見表で、月々の振れ幅まで一緒に確認します。
  2. サービスのミスマッチ
    「毎日散歩できると思っていた」「リハビリの頻度が想像と違う」焦っていると、ミスマッチが起きがちです。
    → ご本人様ご家族様の希望・疑問を具体化して、事前に施設に確認。ご理解いただいてから見学にご案内いたします。
  3. 生活の不一致
    食事が口に合わない、交流の機会が少なく孤立…。「資料では良さそう」だけでは見抜けません。
    試食の可否、メニューと食事形態(刻み・ミキサー等)の対応、レクリエーションの頻度や、日頃の入居者様の生活パターン傾向もチェックします。
  4. 将来の読み違い
    要介護度が上がると転居が必要、面会の動線が悪く家族の負担が増える…“今”だけで決めると起きやすい。
    現在と半年〜1年先を並べて条件整理。アクセスや呼び出し頻度も現実ベースで見積もっておきましょう。

進め方の「型」:3ステップで迷いを減らす

① 現状把握と希望整理 ――いちばん効く“土台づくり”

ここが丁寧だと、その後の比較が驚くほどラクになります。

本人の状態:介護度/認知症の有無と症状/医療的ケア(たん吸引・胃ろう・インスリン等の必要性と将来の見込みなど)/歩行・食事・排泄等の自立度

本人の希望:食の好み、入浴の頻度、趣味(園芸・カラオケ等)、人との距離感(交流したい・静かに過ごしたい)など

家族の条件:初期費用と月額の上限、面会の頻度と動線、連絡の窓口を誰が担うか

“マスト(絶対)”と“ウォント(望ましい)”を分けるとブレません。
例)
マスト=医療的ケアが受けられる/予算内/面会しやすい立地
ウォント=食事が合う/レクリエーションが充実

弊社の伴走ポイント
初回ヒアリングで希望条件を一緒に確認。家族内の合意形成(費用・役割)も客観的に整理します。

② 施設の種類を理解し、情報を集める ――“土台”に合う候補だけを見る

施設の役割や入居条件、費用感は種類で大きく異なります(地域・個別条件で上下します)。
また、施設ごとに様々な取り組みをされていますので、施設の種別だけで判断できない部分もあります。

種別 主な入居条件 目安月額 役割・特徴
特別養護老人ホーム(特養) 原則 要介護3以上 6万〜15万円 比較的低コストで終身利用可。待機者の中から緊急性が高い人から優先で入居。
介護老人保健施設(老健) 要介護1以上 10万〜15万円 在宅復帰を目指すリハビリ施設。ご自宅へ帰るという目的なので、原則3〜6か月の短期。
介護医療院 要介護1以上 10万〜15万円 医療+介護の長期提供。看取りに対応。
ケアハウス(軽費) 自立〜要介護 6.5万〜15万円 所得に応じて減免。「一般型」「介護型」があります。
介護付き有料老人ホーム 自立〜要介護5 15万〜100万超 基本的にスタッフが24時間介護対応をしてくれます。全体的な介護度は高め。
住宅型有料 自立〜要介護5 10万〜 施設スタッフが生活を支援。介護は訪問サービスを利用します。全体的な介護度は低め。
サービス付き高齢者住宅 自立〜軽度 施設により様々 見守り+生活相談の「サービス」がついた、高齢者が暮らしやすい賃貸住宅。
グループホーム 要支援2以上(認知症) 施設により様々 認知症に特化した専門施設。9人1ユニットとして、共同生活をしていきます。

情報収集の主なルート

  • ケアマネジャー/地域包括支援センター:地域事情に精通
  • 施設の公式HP・パンフレット:理念・写真・具体的なサービス
  • 公的データ(介護サービス情報公表システム等):職員体制・研修・離職率などの客観指標
  • 弊社:条件整理→該当する複数候補の提示→「見るべき観点」を並走して可視化。良し悪しを並列で示すので、判断が早くなります。

③ 見学と体験入居 ――"空気"は現場でしか分からない

資料の印象と、現場の肌ざわりは別物です。必ず実際に施設を見てください。

見学前の準備

事前予約/質問リスト作成/メモ・カメラ(スマホ等でも。他にお見せするべき方がいらっしゃれば、動画等も撮影すると便利です)

見学チェック(抜粋)

建物・設備
  • 清潔感・匂い(廊下・トイレ・共同スペース)
  • 居室:広さ・採光・収納、トイレや洗面の使いやすさ
  • 食堂・浴室・機能訓練室の衛生と動線
  • 手すり・段差・危険箇所の配慮
  • 周辺環境:散歩コース、病院・スーパー、家族のアクセス
人とサービス
  • 職員:挨拶や言葉遣い、目線の合わせ方、表情の柔らかさ
  • 入居者:表情、交流の様子、身だしなみの清潔さ
  • 介護体制:人員配置、夜間の人数、緊急時の対応フロー
  • 医療連携:看護師の対応状況、協力医療機関
  • 看取り:方針と家族支援の内容
  • 食事:試食の可否、個別食形態(刻み・ミキサー)の対応
  • レクリエーション・リハビリ:内容/頻度/参加率(掲示物のカレンダーもヒント)
  • 経営の安定感:離職率・入居率の目安(極端に低くないか)

体験入居(ショートステイ)

数日でも、夜間の様子・食事の実際・職員の関わりの"素"が見えます。可能であればご利用を。

弊社の伴走ポイント
見学の段取り、当日の要点メモ、その場の確認事項の取りこぼし防止、体験入居の調整もお手伝い。見学後の比較のポイントも一緒に考えていきます。

契約の前後に、ここだけはチェック

重要事項説明書(重説)

運営方針・サービス・職員体制・費用・契約解除条件の"設計図"。不明点はその場で解消し、持ち帰りでの再確認もおすすめです。

短期解約特例(いわゆるクーリングオフ的な定め)

一般に有料老人ホームでは入居後90日以内の解約に関する取り決めがあります(入居一時金は日割等の規定あり)。適用条件・返還方法は契約書で必ず確認してください。

入居後の人間関係

共同生活ゆえの戸惑いは珍しくありません。困ったらまず施設の相談窓口へ。家族がこまめに連絡を取るだけでも、本人の安心感は変わります。難しい場合は住み替えも冷静な選択肢に。

弊社の最終チェック
追加費用の内訳、面会・外出のルール、苦情対応窓口、緊急時連絡のフロー。抜けやすい所ほど丁寧に一緒に確認します。

そのまま使える「チェックリスト」(保存版)

  1. 月にかかる総額はいくら? (施設月額に加わる、介護保険自己負担・おむつ・理美容・日用品・買い物代行・イベント等の追加費用の内訳と上限)
  2. 夜間のスタッフ人数と緊急時の対応は?
  3. 認知症の行動・心理症状(夜間徘徊・排泄トラブル等)への具体的な対応方法は?
  4. リハビリの頻度・理学療法士等の配置・個別目標の立て方は?
  5. 外出・外泊・面会のルール(時間帯・回数・予約方法)は?
  6. 看取りの方針・実績、家族への支援内容は?
  7. 苦情・トラブル時の窓口と解決プロセスは?
  8. 体験入居の可否・費用・確認できるポイントは?

施設比較の「書き込み式テンプレ」

項目 A施設 B施設 C施設
立地(自宅からの時間/交通)
月額総額(固定+追加の目安)
介護体制(昼夜の人員・緊急対応)
医療体制(看護師常駐/協力医療機関)
食事(試食可否/個別対応)
レクリエーション・リハビリ(内容/頻度/参加人数)
認知症への対応方法
看取り対応
離職率・入居率(目安)
家族の面会動線(平日夜・土日)
本人が大事にしたいこと(趣味・習慣)
総合メモ(良かった点・違和感)

ふわっとした印象を数字と現場の事実に置き換えると、家族間の話し合いも驚くほどスムーズです。

よくある不安に、先回りで答えます

Q. 退院が迫って時間がない
A. まずマストな条件を3つ決め、候補を一次抽出。見学の枠を確保しつつ、比較の視点を絞り込みます。段取りと連絡は弊社にお任せ。

Q. 本人が施設を嫌がる
A. 「何があれば安心できるか」を本人の言葉で。可能なら体験入居で、"施設=制限"ではなく"生活を整える場所"だと体感してもらうのが近道。

Q. 家族内で意見が割れる
A. 感情のぶつかり合いは、条件のすり合わせに変えられます。費用・役割・動線を見える化して、合意点を一緒に探ります。

小さな実例(実話を基に要約)

Aさん(57歳・長女)
退院日まで2週間。マストは「ミキサー食対応」「月の予算は20万円以内」「自宅から1時間以内」。弊社が候補を3件に絞り、見学と体験入居を調整。試食で食事形態を確認し、夜間体制の状況もその場で確認。結果、入居後のコール対応が安定している施設に。家族の面会もご家族のスケジュールに無理のない月2回程度で継続。Aさん曰く「"決める不安"から"続けられる安心"に変わった」とのこと。

目安スケジュール(急ぎのときは圧縮可)

  1. 土台づくり(1〜2日):現状把握/条件整理/家族内の合意
  2. 情報収集(3〜5日):3〜5件に絞り、資料と公的データで下調べ
  3. 見学・体験(1〜2週間):複数施設を見比べ、可能なら体験入居で"夜"を確認
  4. 契約・入居:重説の要点確認→不明点の解消→入居

まとめ:急がば回れ。いちばんの近道は「土台」

  1. 現状把握と希望整理で"ブレない軸"を作る
  2. 種類理解と情報収集で候補をしぼる
  3. 見学と体験入居で"合う・合わない"を五感で確かめる

手間はかかります。でも、その手間が入居後の満足度と家族のゆとりにつながります。

そして――あなたはひとりではありません。私たちは、メモ一枚の整理から、入居後のつまずきの相談まで、同じ目線で並走します。安心してご相談ください。